肩甲骨は背中の上部に位置する逆三角形の骨で、体の姿勢を支え、腕や肩の動きをスムーズに行うために重要な役割を果たしています。しかし、最近では多くの人がデスクワークやスマートフォンの長時間使用により、肩甲骨周辺の硬さや動きの悪さを感じています。肩甲骨の柔軟性が低下すると、肩こりや首こり、さらに呼吸が浅くなるなどさまざまな不調につながることもあるため、自分の肩甲骨の状態をチェックし、適切にほぐすことが大切です。
肩甲骨の柔らかさがもたらすメリット
肩甲骨が柔軟に動く状態を保つことで得られるメリットは多岐にわたります。例えば、正しい姿勢を維持しやすくなるため、猫背や巻き肩の改善につながります。また、肩甲骨周辺の筋肉が緩むことで血流が促進され、肩こりや首こりの軽減に効果的です。さらに、胸の動きがスムーズになることで深い呼吸がしやすくなり、自律神経のバランスが整いやすくなるため、ストレスの軽減やリラックス効果も期待できます。
簡単!肩甲骨の柔軟性をチェックする方法
肩甲骨の柔らかさは意外に普段意識しにくいものです。ここでは自宅で簡単にできるセルフチェック方法をご紹介します。
チェック法ステップ
1. 安楽座(あぐら)で楽に座ります。
2. 身体の後ろに腕を伸ばして、両手の指を絡めます。
3. そのまま肘を内側に寄せ、肘同士が近づくかどうか確認します。
この動作で肘をくっつけられない場合は、肩甲骨周りの柔軟性が低下している可能性が高いです。実は多くの人、約9割がこのチェックで肘同士をくっつけることができないと言われています。
なぜ肘がくっつかないのか?
肘がくっつかない原因は、肩甲骨周りの筋肉の硬さや使い方の問題が考えられます。特にデスクワークやスマートフォンの使用が多い人は、身体の前側が凝り固まり、巻き肩になりやすい傾向があります。これにより背中側に位置する肩甲骨周りの筋肉が十分に動かず、柔軟性が低下してしまいます。
肩甲骨の柔軟性アップに効果的なほぐし&ストレッチ
肩甲骨の動きを良くするには、肩甲骨周りだけでなく、脇の下や二の腕の筋肉もほぐすことがポイントです。ここで紹介する方法は、特別な器具も不要で自宅で簡単にできるものばかり。無理せず、体調に合わせて取り入れてみてください。
ステップ1:脇の下をもみほぐす
・椅子などに座り、肩の力を抜いてリラックスします。
・片手の指を使い、脇の下や二の腕周辺の筋肉を優しくもみほぐします。じっくり丁寧に行い、硬くなっている部分をほぐしましょう。
・反対側も同様に行います。
ステップ2:肩甲骨を意識した腕回し
1. 安楽座の姿勢で座ります。
2. 右手を右肩に置き、左手は床につき、左方向に身体を軽く傾けます。
3. 右肘で大きな円を描くように腕を回します。ゆっくり大きく動かすことで肩甲骨周辺の動きが促されます。
ステップ3:腕の上下運動
1. 床に近い位置に右手を置き、手のひらは天井向きにします。
2. 右手を高く上げ、ゆっくりと床すれすれの位置まで下ろします。
3. この上げ下げ動作を数回繰り返します。
4. 反対側も同様に行いましょう。
ステップ4:腕の輪っかを作って揺らす
1. まっすぐ座り直し、身体の前で両腕を伸ばして指を絡めます。
2. 両腕で輪っかを作るような形にし、軽く左右に揺らします。
3. 肩と背中の緊張がほぐれ、肩甲骨周りの柔軟性が高まります。
肩甲骨の柔軟性が及ぼす生活への良い影響
肩甲骨を柔らかくすることで得られる体調の改善は、日常生活にも直結しています。
良い姿勢の維持
硬くなった肩甲骨は猫背や巻き肩の原因になりやすく、見た目の印象を悪くします。肩甲骨の柔軟性が向上することで自然に胸が開き、姿勢が美しく整います。
肩こり・首こりの軽減
肩甲骨周りの筋肉がほぐれると、血流が良くなり、筋肉の緊張が軽減します。これによりつらい肩や首のこりが和らぎ、日常のストレスが減るでしょう。
呼吸が深くなる
肩甲骨と胸郭は連動して動きます。肩甲骨が柔らかいと胸が開きやすくなり、深い呼吸がしやすくなります。自律神経が整い、リラックスした状態を保つのに役立ちます。
肩甲骨柔軟性を保つための習慣づくり
肩甲骨の柔軟性は一度ほぐすだけでなく、日々のケアが重要です。以下の点を意識してみましょう。
- 長時間同じ姿勢を続けないようにする(1時間に1回は軽いストレッチを)
- スマホやパソコンを使う時は、姿勢に気を付ける(背筋を伸ばし肩の力を抜く)
- デスク周りで肩甲骨を動かす簡単なストレッチを習慣化する
- 適度な全身運動(ウォーキングやヨガなど)を取り入れて身体全体の柔軟性を高める
まとめ
肩甲骨の柔軟度チェックは、自分の身体の状態を知る第一歩。肘同士がくっつかない場合は、肩甲骨周りの筋肉が硬くなっている可能性大です。脇の下のもみほぐしや腕回しなど、特別な準備がいらない簡単なストレッチを続けることで、姿勢改善や肩こりの軽減、深い呼吸によるストレス緩和など様々な効果が期待できます。日常生活に気軽に取り入れて、肩甲骨の柔軟性アップを目指しましょう。
